我が家は禁煙でテレビもない。
仕事場のビルのB1（地下1階）にはありがたいことにTVと灰皿の２つが用意されていて、よくそこにリフレッシュに行っている。

ある時、地下1階へ向かおうとエレベータに乗った。
途中の低層階からひとりの男性が乗ってきた。
彼は階層のボタンを押さない。
てっきり喫煙組だと思った私は、地下1階に着くと「どうぞお先に」と声をかけた。
すると彼はにっこり微笑んで「大丈夫です。私は１階にあがりますから」と答え、軽い会釈の後、１Fの階層ボタンを押して上がって行った。

頭の鈍い私は状況が飲み込めなかった。
「あの人、間違ったのかな？」という思いが先に来た。
しかし、彼の落ち着き払った様子は「あえて押さなかった」という感じだった。
喫煙室まで歩きながら「？」がクルクル頭を回った。
そしてようやく合点がいった。

地下1階から地上1階までは、扉の開閉を含めても30秒程度、途中に止まる階はない。先に乗っている人を地下で降ろした後に階層ボタンを押しても必ず地上1階で降りることができる。相手の立場に立った極めて紳士的な行為を彼はやってくれていたんだ！

「凄い！」

彼の行動はほとんどの場合「間違ったんだな」と解釈されるだろう。
でも、彼にとってはそんなことはどうでもいい。
自分の生き方の問題として、そういう選択をしている。
自分だったら、、、そういう発想は絶対に出ない。
まるで自分とは違った人種のように感じた自分自身に少し反省した。

彼のような生き方をしたいな。
彼のようなステキな人になりたいな。